親さまは寺の本堂の裏の倉庫で米の取り入れの準備に忙しそうにしておられた。
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安藤の挨拶を聞くともなしに聞いてから親さまは、
「天皇様が大変なことになるよ。お前が助けるのだよ。お前は天皇様とマッカサーを助けるのだよ」
と他人事のようにつぶやいた。
安藤は「へへーー」と狐につままれたような面持ちで親さまの顔を見ると、
「お前様がやるんだ」
とまたポツンとつぶやくのである。
親さまがまた妙なことを言っている、とあまり気にも留めず安藤はその場を跡にした。
その後、安藤は多忙にまぎれすっかり忘れてしまっていた。
終戦となると、戦需景気に乗ったどさくさのような仕事は終わり、これからの仕事をどうするか、社員は2万5千人にも膨らんでいた。